崖っぷちのポニョ

2008年7月23日水曜日

 

ポニョが止まらない。あの映画をまともに食らって、かなり消化不良を起こしている。

千と千尋を見に行ったトラウマでハウルは見ていないが、今回「トトロみたいなものを再び作った」というので、子供も見たいというのがきっかけだ。

確かにすごい、すごかった。これは劇場で見るべきだと、今見ている自分が劇場にいることに感謝したぐらいだ。しかし、この見終わった後の不安定さ、不安が解消されないというのはとても困る。

ストーリーはトトロよりも単純だが、説明をあえて省くことによって後半はかなり難解なことになっている。特に物語後半に起きる災害で、宗介以外の街の人々は全員死亡したと考えたほうがしっくりくる始末。(全員死亡とはいかないまでも、あの赤ん坊かかえた親子はおそらく死んでいるんだろうなと思うけどね)

この後味の悪さを消化すべく2chや論評サイトを渡り歩いている。もう自分のこの感覚が、想いが、こんなに不安定なまま放り投げられているのに耐えきれないのだ。思えばトトロは後味すっきり、良い作品を観させていだたきました、ごちそうさまでした、だった。それに加えてエンディングロールの背景でその後どうなったかという「説明」までつけて物語をきっちり完結させている。

しかしポニョは違う。後半のあの不安定さを吹き飛ばすパワーがまるっきり足りない。この先不安があるけど、希望を持って、ま、いいっか!!てな感じには到底なれない。例の歌が流れてエンディングだが、歌によって少し救われている程度で、監督が観客に向けて不安の種を蒔きっぱなしのまま、観ている者を突き放して唐突に終わる。災害のシーンで監督も力尽きたかのような見事な尻すぼみ。おまけにエンディングロールで気持ちを落ち着かせるべきところを、すぱっと意図的に短くしちゃったもんだからさぁ大変。もう不可解なハテナマークが頭の上をぐるぐるまわったまま椅子から立ち上がるのは本当につらかった。

凄いモノを見た、が感想として一番的確。だが、感動したかと言われれば否と答えよう。しかし、だからといって駄作ではない。ひょっとしたら近年の宮崎作品の中では一番の傑作だとも思う。この観た後の不安さはいろいろ考えたり書き込んだりしても解消されない。こうなったらもう一度観に行くしか!! そう思い詰めた作品は今のところ後にも先にもこれだけじゃなかろうかと思う。

で、きっかけを作った当の本人に感想を聞いてみる。

「えー?ポニョって最後死んだんだよねー??」

をををををいいいいい!!!

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